Last Updated 2022年11月30日
要点のまとめ
- ビスマス弾頭の寸法安定性を向上させたい
- スズと合金化して、ビスマスの体積膨張の抑制を目指す
- これまでの国内外の研究成果をレビューして、最適な合金の混合率を検討した
- 多分、スズ13%がよさそう???
合金化の意義
金属の単一元素はそれぞれ様々な特性をもち、使い方によって利点や欠点となる。純ビスマスを弾頭素材に使う場合の欠点は、高い脆性と異常液体ゆえの個体化するときの体積膨張だろう。これに固体化するときに体積が収縮する通常液体?を添加すれば、体積変化については相殺できそうに思う。物性はどうなるだろうか??そもそも添加量は??いろいろ考えたい。
ビスマスに混ぜる金属としてはスズがポピュラーだ。この2種類で作られる合金はPbフリー半田の用途でよく研究されていて、アンチモンや銀も添加して商品化されていたりする。
また合金はいい感じに混ぜると優れた特性が現れる混合比率がある。共晶合金というらしい。
6・1 共晶の凝固
共晶合金は鋳物,溶接,ろう付けなどの工学分野で重要な役割を演ずるのは次のような特性によるものである。(1)それらの純成分に比して融点が低いので溶解や鋳造が容易であり,その結果,エネルギー消費が少なく,るつぼなど容器の溶損も少なくなる。
(2)共晶合金は流動性に勝れ,給湯性がきわめて良い。
(3)複合材の特性をもった,細かくて均一な2相合金のinsitu形成の可能性がある。
(4)共晶組成の金属溶液から炭素のような低密度第2成分が成長するので,凝固収縮の減少を助けることにもなる。こうした実用的な価値の高い共晶合金ではあるが,きわめてバラエティーに富んだ複雑多岐な凝固組織それらが形成される凝固過程には多くの因子が関係しており,それらの複雑な因果関係を簡単に解き明かすことはそんなにやさしいことではないようである。
p371より
ビスマスースズの共晶合金はBi57Sn43が代表的なようだ。これは重量比ビスマス57%、スズ43%の合金である。調べれば半田用合金として一般的らしい。
上記の特性はそのまま弾頭鋳造に有利な特性である。しかし、この共晶合金比率ではやや比重が軽く、弾道係数的には不利であるし、コスパもよくない。スズの量を減らせないだろうか??
国内での非鉛弾頭の研究成果を見つける
もともとは非鉛弾頭研究がないものか文献調査をしていて見つけたのだが、2006~2007年ころに産官学で、このようなものを作っていたことがわかった。


いつ消えるかわからんので魚拓を取っておく。見つけたときは喜んだが、すでに作っていないらしい。この商品のその後が知りたい。。。
とりあえず、研究について掘り下げていき、工業試験場の研究報告を探ったりしたが、特許出願中とのことなので、最終的に特開情報にあたることで、研究成果を突き止めた。ここの検索もとてもめんどくさいので記録を残しておく。

この特開番号が分かれば、再びすぐたどり着ける。審査請求が未請求なので、権利化はできてないようだ。
この情報自体はアメリカから閲覧記録もあったので、それなりに注目はあったのかな??わからんが。。。
このPDF資料を読み込むと興味深いグラフがある。


研究の中で延性と展性の試験をしている。詳細は原文を参照ということにして割愛するが、ハンドローダーとしては、このグラフはすごいデータだ。
弾頭としての理想的な性能は柔らかく、よく伸びることだ。図5のグラフから、合金にすると硬度は増すが、スズの添加量が少ないほど柔らかい傾向がある(共晶合金付近にも「谷」があるが)。
また図6から展性については、共晶合金が最高であるが、スズの添加量が2~3割程度でも改善することが分かる。
合金の比率はどうしたものか??
この合金の性質は目指す弾頭の性能に応じて、よく考慮する必要があるだろう。では実際に使われているビスマス弾頭合金はないのか??
これもよく調査したらあった。
このレビュー記事は、最近、自分のなかでバズッた動画のレビューである。

ビスマスを主成分とし、アンチモンとスズ(12%)を加えた合金で、ビスマスが冷却されると膨張する性質があるため、この合金を使用したのです。そのため、通常の鉛の鋳型を使って、適切な大きさの弾丸やスラグを作ることができたのである。この特殊な性能が、この特殊な合金にどれだけ由来しているかは分からないが、ある程度は重要だろう。
上記訳
さて、レビュー記事も、動画内でもビスマス弾頭の標的内における挙動が実に興味深いと語っている。
そして、この合金の組成と射撃結果からするに、狩猟用として使う場合に展性はあまり意識しなくていいと考えられる。ビスマス弾はフラグメンテーションとキャビテーションを同時に発生させながら標的を破壊するようだからだ。
このスズ12%というのがすごくいい気がしてる。ビスマスの体積増加をスズの体積減少が打ち消しつつ、鋳造性がよくなり、融点が下がり、十分に重い比率で、高価なスズを節約できるだろう。
さらにビスマス合金弾頭をテストした先人の事例
ビスマス合金をいろいろ試している先人の情報もみつけた。もっと古いのもあるのかもしれないが、ある程度最近で、かなり精力的に研究していたのは、こちらのフォーラムのスレッドの方。

どうもアリゾナ州の狩猟用鉛弾頭規制によって、Rotometal社のビスマス合金でテストし始めたらしい。
2014年のこのフォーラムがまともに実験しているものでは一番古そうなので、まだまだアメリカでもビスマス弾頭は研究黎明期なのかもしれない。つまりそんなに情報はないかもしれないということだ。

錫の割合を15%程度にするために十分な錫を加えました。水冷と空冷を行い、定期的にテストして合金の硬化が遅いかどうかを判断しています。私の知る限りでは、水冷は空冷と比較して合金の硬度に影響を与えません。錫の増加により、bhnはわずかに上昇したように見えます。私の推定では、7%のスズで約13.5bhnだった硬度は、15%のスズで14.3bhnになりました。
ビスマスは、鉛のように硬度の測定はあまり関係ないと思います。ビスマスは、分子レベルでは階段状の結晶構造を形成している。大きな力が加わると、ビスマスはその線に沿って砕ける。合金に求められるのは、そのようなビスマスの破砕性を防ぐことである。
ビスマスの毒性について、興味深いことがある。それは、ペプトビスモールの有効成分である。
ビスマス合金を溶かすときに出る煙には毒性があるので、空気を動かして煙を吸わないようにすることと同じ注意点があると言われています。
この際、弾丸を装填して水差しに入れ、15%の錫でどうなるか試してみようと思います。20%の錫を使うつもりですが、途中で少しテストしてみようと思っています。
この辺で、こちらのおじさんも自分と同じようなことをしている。12~15 %のスズがいいところなのだろう。
まとめ
いろいろと調べてくると、様々な研究実績や市販の弾頭用合金の組成を参考にすると、純ビスマスに対して、スズを重量比率で12~15%で添加するのが、性能とコストのバランスがよさそうに思う。
これまでの実射研究から、弾頭の寸法安定性が大事なことはわかったので、自分はBi87Sn13合金でしばらく実験してみよう。
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